不安だらけだった電話当番初日/でも今は「逃げなくてよかった」と思う/2021年度報告書からボランティアの声

KPでは、ピアスタッフ、家族、学生、大学教授など、様々な立場の人たちが電話相談に対応しています。今回は、2021年度のKP事業報告書に掲載した電話相談ボランティア2人の声を紹介します。

佐藤未来さん(大学生)

授業やアルバイトで多忙な毎日ですが、なんとか時間を作って電話相談に入っています。大学では類学を勉強しています。

私は、イタリアの精神科医フランコ・バザーリアの取り組みを題材とした映画を観たことがきっかけで、大学入学前から日本の精神医療福祉に関心がありました。しかし、当事者に話を聞いたり、支援者と話したりする機会や環境がありませんでした。そこで、障害のある人たちの現状を、生の声を通して知りたいと思い、KPの電話相談ボランティアを始めました。

病院からの退院や転院、減薬関連、地域生活上の困難や問題、などに関する相談が多く、人生経験の浅い私には対応が難しい場面も多くあります。しかし、他のボランティアさんや事務局の方々のフォローのおかげで、楽しく仕事が出来ています。KPのピアメンバーの皆さんが、当事者だからこそできる支援があるように、私も学生の身分だからこそ提供できる支援があるのではないかと考えています。精神医療福祉の知識を吸収したり、雑談を通してピアの考え方を学んだりして、相談者に寄り添った対応が出来るように奮闘する日々です。

KPでの活動を始めるまで、私がこの領域との接点を持つことが困難だったように、当事者の人たちが活発に活動していることも関係者にしか届いていないのではないかと感じています。KPでの活動を通して、ピアの方々の取り組みを多くの人に広めていけたらいいなと思っています。

細田直樹さん(ピアボランティア)

飲食店で仕事をしながら、電話相談のシフトに入っています。自分の病気の経験を生かして相談に対応しています。

私が電話相談のピアボランティアを始めたのは、「何か人のために役立つことはできないか」という気持ちからです。その気持ちを横浜市金沢区の生活支援センターのワーカーさんに伝えたところ、「電話相談のボランティアがあるよ」と、KPを教えてくれました。リーフレットをもらい、すぐにKPに電話をかけて、電話相談ボランティアを始めることになりました。

相談の内容は様々ですが、2時間くらい会話した電話が特に印象に残っています。その後、電話の主がKPの事務所においでになり、みんなで話を聞きました。話をすることで、少し元気になられたようでした。退院についての相談や、DVについての相談など、未熟な私にはなかなか難しい相談もあるのですが、勉強してきちんと対応できるように頑張ろうと思っています。

電話ボランティアの初日、先輩が相談を受けている姿を見て、「自分はあのようにうまくはできない」と思い、逃げ出したくなりました。でも、逃げなくてよかったです。私は今、生活費を稼ぐ為に焼き肉レストランで働いているので、KPが頻繁に開催する講習やイベントになかなか参加できないのが残念です。

最後に、こんな私をボランティアに入れてくださっている、KP神奈川精神医療人権センターのみなさま、ありがとうございます。これからもよろしくお願いします。

電話ボランティアの声などを掲載した2021年度KP事業報告書