相模原と都筑での「不安の正体」上映会が満席に/「当事者が声をあげることが大切」と飯田監督/ヘイト受けるグループホームの入居者家族や地元住民も来場

KPは、映画「不安の正体~精神障害者グループホームと地域」(飯田基晴監督)の上映会を相模原市(4月22日)と横浜市都筑区(4月24日)で開催し、両会場とも満席になりました。本当に怖いのは精神障害者ではなく、視野狭窄な思い込みから生じる差別や偏見であることを、この映画は伝えています。アフタートークなどでの参加者の感想を、堀合悠一郎・KP副会長がまとめましたのでご紹介します。

4月22日(日)18:30-20:45 会場:相模原南市民ホール 参加者:200人(満席)

アフタートーク

◎飯田基晴さん(監督)

はじめは「15分程度の映像を」との依頼を受け撮影を始めたが、当事者達のありかたに次第に興味を惹かれ、「もっと撮りたい」と撮影を進めるうち、最終的には65分の作品になった。当事者がより一層声をあげていくことが、現状を変えていくことにつながると思う。

◎神崎寛明さん(一般社団法人ラフレックス)

障害のある人が働くリサイクルショップとダイニングバーを運営している。ここで働く人達は、色々な困難がありつつ、頑張ったり、のんびりしたり、それぞれのペースで穏やかに日々を送っている。KPがしているような権利擁護活動は本来、私たち支援者がやるべき事ではないかと思う。もっと力を入れないといけない。

◎藤井哲也(KP会長)

KPの荏田南でのチラシ配りは、2年近くにわたり30回ほど続けている。「子どもたちの安全を守れ」「地域住民の安全を守れ」と書いたヘイト幟旗は降りたが、「運営反対」の旗はまだ残る。地道な取り組みをさらに続けていきたい。

4月24日(日)14:10-16:15 会場:かけはし都筑  参加者:72人(満席)

アフタートーク

◎工藤智子さん(すずらん会会長)

長年、荏田南の近くに住んでいた。精神の家族会の会長をし、差別・偏見とも向き合っているが、なかなか一筋縄ではいかない。映画は多くの人に問題を知ってもらう貴重なきっかけになる。

◎月岡勇世さん(横浜北部ピアの会ハピカ会長)

私は当事者で、精神保健福祉士として働こうとしている。差別は難しい問題。映画という感性に訴える媒体で伝える意味は大きいと思う。

◎藤井哲也(KP会長)

荏田南でのチラシ配りは住民との対話と思って続けている。この上映会のチラシも、黄色い幟旗を立てている家々に配った。都筑で上映会が実現したことを一つのきっかけとして、KPの活動をさらに展開していきたい。

◎都筑区で訪問看護を続ける看護師

訪問看護で看取りもしている。身寄りがない当事者も多いので、彼らの地域生活を支えるグループホームは不可欠な存在だ。

◎幟旗を立てられている荏田南のグループホーム「ヨット」の入居者家族

実際に家族が精神疾患にかかり、医療・福祉の支援を受け、助けられた経験を持つ人でないと、グループホームがいかに重要で、かつ、グループホーム運営反対運動がいかに不当であるかを理解することはできないのではないか。

◎三橋良子さん(SKYかわさき理事長)

自分たちも過去に1年半位の間、グループホーム運営反対の幟を近隣住民に立てられ、大変な経験をした。ヨット関係者は3年もの間、反対運動に耐えている。どれほどの苦労かと思う。本来、行政が差別を許さぬ姿勢を打ち出すべき。

◎都筑区荏田南の住民

荏田南に長年住んでいる。知り合いから紹介され今日の上映会を知った。地域の住民は、みな、障害について理解ある温かい人たちだと思っていたので、幟旗のことを今回初めて知って驚いた。映画を観て感動した。地域の人たちにもこのことをもっと伝えたい。

◎飯田基晴さん〈監督〉

差別・偏見を変えていくには、当事者が声をあげることが大切だと思う。映画の中の当事者には、その後グループホームを出て一人暮らしを始めた人が何人かいる。映画の内容はここで完結したのではなく、現在進行形で展開している現実だ。引き続き多くの人にこの作品を観てもらい、ともに考えるきっかけとしてもらいたい。

「私たちの地域でも『不安の正体』を上映したい」などのご希望があれば、KPの電子メール(mail@kp-jinken.org)にお問い合わせください。

すぐ近くにヘイト幟旗が立ち並ぶ荏田南の学校を訪問し、「子どもたちのためにも見て見ぬふりをしないで欲しい」と訴える堀合悠一郎副会長らKPメンバー〈映画「不安の正体」の一場面〉