人気を集める「ピアトランプ」とは何なのか?/「共感」について考えるきっかけに

みなさん、こんにピア!!

YPS横浜ピアスタッフ協会が作成し、今月発売した「ピアトランプ」(1000円)が人気のようです。ピアトランプとは一体なんなのか?発案者のみずめさんに紹介記事を書いてもらいました。

「精神科に入院経験あるの、いいよね」

数年前、精神疾患当事者の友人からそう言われた。「え、何を言ってるの」と思った。

精神科の入院の思い出なんて最悪でしかないため、羨ましがられるなんて意味不明だ。でも、そのあとの言葉で理解した。

「私は入院経験がないから、退院促進のピアサポートはできないみたいなの」

ピアサポートに「入院経験」という条件を設けている所があるらしいのだ。きっと、「同じ経験をした人の方が分かり合えるから」という理屈なのだろう。私は病状が悪かった時に、閉鎖病棟も保護室も経験している。でも、それがピアサポートをするためのパスポートになっていいのだろうか?それではまるで、辛さ自慢ではないか。そう感じた。

共通点があることは、人がコミュニケーションする時のきっかけになる。同郷だったり、好きな食べ物が同じだったりすると、相手との距離感はずいぶん縮まる。精神疾患ならではの体験は、経験者は多くても明かす人が少ないので、同様の体験をしたという方にお会いすると、「あなたも!?」と嬉しくなる。

共感はピアサポートの強みである。しかし、共通体験を重視し過ぎると、最強のピアになるためには、辛く壮絶な体験を一通りくぐり抜けなければならない、ということになる。幸せを生み出すためのピア活動なのに、本末転倒している。

そんなふうに共感について考えていたら、カードゲームの大貧民(大富豪)がふと浮かんだ。共感エピソードを切り札にして、相手とやりとりする(コミュニケーションする)のはピアサポートそのものであると。そして、精神疾患を持った人は、大貧民なのか大富豪なのかという問いもひっくるめて、遊んでみたらいいのではないかと。

こうしてトランプを作ることとなった。この企画はお祭り好きなピア集団である、YPSでやるのがしっくりくる。本当は真面目なことなのだけど、堅苦しく考えずに遊びながら共感を深めたい狙いと、YPSはマッチしているからだ。半年かけてミーティングを行い、ピアトランプは完成した。

トランプの絵札には「ピアあるある」を散りばめた。「ひとりになりたい。けど、ひとりはイヤ」。YPSのメンバーも絵札に登場する。「共感できないあなたに、共感します」。KPの会長、副会長の絵札もある。

一枚一枚の絵札を眺めるだけでもよいが、せっかくならトランプで遊んでみたいと思ってもらえるのが目標だ。対面ゲームはひとりではできないので、ひとりの世界から外に踏み出すきっかけになる。

「大人数で遊んでみたい」「絵札の人に会って詳しい話を聞いてみたい」「自分の話もしてみたい」。このようにして、ピアサポートが広がっていけば嬉しい限りである。

「ピアについて、深め、広めていく」。そんな思いが込められたピアトランプであるが、それは一旦脇に置いて、純粋に遊んでほしい。ふとした瞬間の笑顔は、あなたの切り札だ。

                                             みずめ

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https://shalom153.wixsite.com/yokohama-peers/event-details/piatoranpu

それではまた、ケイピー!!