私が福祉事業所に通えなくなったワケ/雑すぎる法制度が就労を阻む

みなさん、こんにピア!!

YPS横浜ピアスタッフ協会副会長の野間慎太郎です。私は2021年の春から夏まで、KPメンバーが多く通う横浜市磯子区の福祉事業所・シャロームの家を利用していました。ところが、ある事情で退所せざるを得なくなってしまいました。

その理由は「利用料」です。妻が働いている私の家は、生活は厳しいのに非課税世帯には当てはまらないので、利用料の1割負担を求められます。その額は、毎月9300円でした。一方、手元に入る工賃は、私が働ける時間が限られていることもあって、毎月1万円程度。良い時でも私の収入は差し引き数百円で、赤字の月もありました。これでは、生活がますます逼迫してしまいます。

シャロームの家には、「在宅」という形で対応してもらえて、本当に助かりました。できれば続けたかったのですが、この利用料が重荷となり、続ければ続けるほど赤字が増えていきそうなので、どうにもなりませんでした。

シャロームの家は、全国平均よりもかなり高い工賃を払ってもらえます(2022年1月時点で時給900円)。しかし、それでもこんな状況なのです。他の事業所では、収入が大幅にマイナスになるのは火を見るよりも明らかです。

ある人に言われました。「それ相応の世帯収入があるのだから、しょうがないでしょう」。果たしてそうでしょうか。厚生労働省が定める「利用者負担」についての説明を読んでも、そう思われますか。

これによると、利用料がかからないのは年収100万円以下(障害者控除など特定の控除があった場合では135万円以下)の非課税世帯です。問題なのは、私が属する「一般1」のカテゴリーです。ここは「おおむね年収600万円以下の世帯」となっています。年収150万円程度の世帯と年収500万円台の世帯が、同じ扱いになっているのです。この開きは雑すぎると思いませんか。生活レベルや金銭的余裕は大きく異なるはずなのに、一括りにするのは乱暴すぎます。

「嫌ならA型事業所の利用や一般就労をすればいい」と思われるかもしれません。しかし、そうなると今度は「法定雇用率を満たすための週20時間以上の労働」という壁が立ちはだかります。

精神障害があると、集中力が続かなかったり、疲労が抜けにくかったりするなど、長時間の労働が難しいことがあります。私のように、身体疾患があればさらに難しくなります。そうした部分は一切考慮されず、週20時間の勤務ができなければ、ハローワークの障害者求人に応募することもできません。

そうなると一般求人を使うしかなく、体調面の配慮をしてもらうのはかなり難しくなります。就労経験のある健常者と同じ土俵に上がることになるので、心身に対する負担も大きくなるでしょう。

作業所に行けば赤字。週20時間超の勤務は難しい。どうしても体調面の配慮を必要とする私は、どこで働けるのでしょうか。

私のように、法制度によって就労を阻害され、働きたくても働けない人がいることを、どうか忘れないでください。もっと踏み込んだ「多様な働き方」が広がることを切に願っています。

工賃が高いシャロームの家。それでも、雑な法制度のせいで利用できなくなってしまいました(横浜市磯子区 佐藤光展撮影)