「生きがい」って何だろう?/実習生の悩みをきっかけに考えてみた

みなさん、こんにピア!!

KP探偵役がすっかり板についてきたガンジー友蔵さん。今回は、進路に悩む福祉事業所実習生の悩みをきっかけに、「生きがい」について探ってみたそうです。

生きがい

ガンジー友蔵

先日、私が通う福祉施設の実習生から悩みを打ち明けられました。親の期待に応えようとやってきたのにうまくいかず、自分の目指している進路に疑問を持っているようでした。本当に自分がやりたいことは他にあるのではないかと。

私も親とうまくいかず、学生時代から悩みを募らせていました。大学には目的意識もなく進みました。フリーターになりたかったのですが、父の反対で進学したのです。特にやりたいこともなく大学に入り、麻雀をし、お酒を飲み、恋愛で淋しさを埋めようとしていました。失敗だったと思います。失敗も経験の内に入りますが、その時にこそ、もっとやるべき事があったと今になって思います。

人生には、人それぞれ課題があるような気がします。その課題をクリアするまで、同じ壁に何度も何度もぶつかるような気がします。逃げても、逃げても、いくつになっても同じ壁が立ちはだかります。そして私は、病気になってしまいました。逃げ道をふさがれた気分です。好きな事をやるにせよ、やるべき事をやるにせよ、もう病気からは逃げられません。

不思議なもので、壁の前に立って困っている時、サポートしてくれる人が現れます。「大丈夫」とか「やっちゃいなよ」とか、または無言でヒントをくれます。人生を振り返ってみると、確かにいつも誰かいました。友人だったり、先生だったり、時には親だったり。

今は、私にとって人生の転機なのかも知れません。普通は、後になってから、あの時が転機だったなと考えると思います。私は、今、進行形で転機を感じています。今の福祉施設へ来て、1年半が経ちます。だんだん居心地が良くなってきました。家族関係も良くなってきました。

必要のないものは衰えていくと思いました。私は眼が悪くなってきました。気楽に本を読めません。新しい薬の副作用もあると思います。本に集中出来ません。以前は、駅のホームや空き時間によく読んでいたのですが、今は、老眼鏡を出さなくてはなりません。本を読まなくなってきました。神さまという存在が本当にいるのならば、本を取り上げられた気分です。「本ばかり読んでいないで、行動しろ」と。

今の福祉施設に来たのも何かの縁だと思います。腰を痛めたこともあって、福祉施設の作業にはあまり入れなくなりましたが、これからは、福祉活動に力を入れようと考えています。私にとっては、新しい体験です。長い間、一人もんもんと悩んでいましたが、新しい道が見えてきた気分です。私はあきらめないつもりでいます。自分の人生はこれからだと思っています。

あの時、もし、ああしなければ、こうしなければと、ずっと過去に縛られて生きて来ました。友達を失くしました。恋人も失くしました。もし、病気にさえならなければと、ずっと思って生きて来ました。でも、私にとって必要なことだったと思えるようになってきました。

私は、14歳の時に母を失くしています。母が生きていればと、何度も思いました。生きていてくれたら、確かに人生、楽だったと思います。でも、今のような形での成長は出来なかったと思います。私だけでなく、父や妹、弟にとっても。母には感謝しています。生きている間に愛情をたっぷりくれたことを。本を読むことを私に身に付けさせてくれたのも母です。でも、もう母離れする時が来たのだと思います。本を読む時期が終わったのだと思います。

生きがいとは、とてつもなく大きいものではなく、すでにあるのだと思います。それに気づくか、気づかないか。気づけるか、気づけないか。苦しい時がチャンスなのだと思います。

人生がうまくいっている時は、むしろ逆に気づきにくいと思います。うまくいっていない時に、小さい、ささいな事に感謝できます。親の存在、友人、恋人、仕事。気づきには、時間も必要かもしれません。機が熟するのを待つ、というのもあると思います。

私はずっと苦しかったです。今も苦しいです。でも、ふと気づいたら、ものすごく大きいものを得ていました。ひとつひとつは小さいです。新しく出来た仲間、仕事。こうして文章を書かせてもらえる機会。新しいことだらけで、怖さもありますが、この流れに身を任せて、新しく始まった人生を生きて行こうと思います。生きがいを求め続けながら。

ガンジー友蔵さんは確かに最近、イキイキしてきました。KPの電話相談ローテーションにも入ってくれるそうです。精神疾患を持つ人たちの真の力を生かす活動こそが、KPの真骨頂です。ガンジー友蔵さんはその先頭を走っています。次回は、引きこもりについて書いてくれるそうです。

それではまた、ケイピー!!

ガンジー友蔵さんの似顔絵(絵・平山真衣さん)