薬をラツーダに変えられて「体の動き止まらず」/患者の声を聞かず増薬一辺倒の主治医
KPでは、平日13時から16時まで、電話相談を受け付けています。神奈川県内はもとより、県外からも、精神医療や生活の悩みについての相談が多く寄せられます。このコーナーでは、そうした相談の中から典型的なものをピックアップし、プライバシーに関わる部分を改変した上で、掲載していきます。
今回は、抗精神病薬「ラツーダ」の話題です。2020年6月から国内販売(医師が処方する薬)が始まったばかりの新しい薬ですが、県外の相談者Aさんからこんな悩みが寄せられました。
「最近この薬を処方されたのですが、体に合わないようで、どんどん体調が悪くなっています。処方されてから、とても興奮するようになり、体が動くのを止められなくなってしまいました」
ラツーダは、大日本住友製薬が創製した独自の化学構造を持つ非定型抗精神病薬です。「統合失調症」と「双極性障害のうつ症状」に効果があるとされています。欧米など海外で先行して使われ、体重増加や糖代謝異常といった代謝系副作用の少なさが報告されています。
しかし、副作用の出方は人によって異なり、ラツーダにも、アカシジア(座ったままじっとしていられず、動きたくなる)などの出やすい副作用があります。KPメンバーの男性は、ラツーダの服用体験を次のように語ります。
「私もつらい思いをしました。製薬会社が作ったラツーダの宣伝文を見た主治医から、『副作用が少ない素晴らしい薬が出た。これに変えてみてはどうか』と勧められたのが服用のきっかけです。20mgから始めて、その時は元気が出た気がして『いいかも』と思ったのですが、40mgに増やしたところで、テンションがすごく高くなってしまいました。主治医に『具合悪いです。どうしたらいいですか』と伝えて服用を止めました」。調子が上がりすぎて、「これはやばい」と自分でも思うほどだったそうです。
しかし、Aさんは現在も、ラツーダを1日80mg服用しています。1日の最大用量です。副作用がつらくても、Aさんは処方された薬を真面目に飲んでしまうのです。そして、歩き回るのを止められなくなります。このような症状を新たな主治医に伝えても「あなたは具合が悪いから、薬を増やすよ」と言って、他の薬もどんどん増やすばかり。まさにヤブ精神科医の典型です。
ラツーダを飲むまで、Aさんは既存の抗精神病薬で症状が安定していました。ところが、転居をきっかけに医療機関を変えたところ、今売り出し中のラツーダに薬を変えられたのです。新たな主治医に不信感を抱いたAさんは、近くの複数の医療機関に相談しましたが、「薬は勝手に変えられない」などと言われたそうです。この地域の精神科医療機関は、学閥のつながりが強いようなので、医師たちはAさんの新たな主治医に遠慮しているのかもしれません。揃いもそろって、どうしようもない精神科医ばかりのようです。
KPはAさんに、この地域の学閥とは関係のない精神科医を紹介しました。患者の声に耳を傾けてくれる当たり前の精神科医と出会い、回復されることを願っています。
