日精協会長・山崎學さんの「〝悪役〟の胸の内」① 国が「保安」をやらないから民間が/感染症対策は独自ネットワーク検討
今年7月31日、NHKが放送したETV特集「ドキュメント 精神科病院×新型コロナ」の中で、日本精神科病院協会の会長・山崎學さんがふと漏らした言葉が波紋を広げました。
「精神科医療というのはね、僕はよく言うんですけど、医療を提供しているだけじゃなくて、社会の秩序を担保しているんですよ。街で暴れている人とか、そういう人を全部ちゃんと引き受けているので。医療と社会秩序を両方精神科医療に任せておいて、この(診療報酬)点数なんですかって言っているわけ。一般医療は、だって医療するだけじゃないですか。こっちは保安までも全部やっているわけでしょう、精神科医療って。(入院を)断っていたらどこもとらないし、一番困るのは警察だと思うよ。警察と保健所が困るだけだよね」
この発言に対して、方々から非難の声が上がりました。日本の民間精神科病院を束ねる組織のトップが、医療だけでなく「日本の保安も担っている」と明言したのですから、それは衝撃的です。しかし、私は困惑や怒りよりも、「よくぞ本当のことを言ってくれました」と、山崎さんに拍手を送りたい気分でした。私たちが見て見ぬふりをし続けた「医療という名の保安処分」の存在を、関係組織の親分が自ら認めたのですから。8月19日、東京・芝浦の日精協会館で、山崎さんに会ってきました。3時間近くも話を聞かせてくれました。
前編の今回は、「保安発言」「新型コロナ対策」「身体拘束問題」についての山崎さんの見解を主に掲載します(★の後のカギカッコは副会長・野木渡さんの発言)。
まずは、ETV特集の感想と保安発言の真意から。
「NHKのあの番組は、(東京都立)松沢病院でコロナの病棟を運営していて、コロナ下の精神医療がどうなっているか、というのがテーマなんですよ。僕は3時間くらい取材を受けたけど、断片的な部分だけが切り取られてしまった。まったく関係ないところだけをポンと出しちゃっているので、誤解を生むような放送の仕方をしちゃっている。あれはNHKの編集能力の問題、あるいは恣意的に物議をかもそうと思って、あそこだけを切り取って出したのかね。編集者にも『これはおかしいんじゃないか』ということは言ったんだけどね」
「僕が言ったこと自体は、間違っているとは思っていないんです。措置入院にしても、スーパー救急にしても、今どうにかして欲しい患者さんを、家族や警察、保健所が言ってきて、精神保健福祉法に基づいて強制入院をさせる、というシステムでやっているわけですよ。例えば、心筋梗塞で病院に運ばれるのとは違うと思うんだよね。そこで暴れている人は、どうにかしなきゃいけないわけで、そういう患者さんをきちんと法に則って入院させる。そういう手続きをして、更に、興奮状態に対して医療的な提供をしているわけじゃないですか。そういう2つのことをしているのに、危機的状況においての(診療報酬上の)評価が全然ないというのはおかしいと、僕は前から言っているわけ」
「あと思うのは、左の人達は、精神科医療について斜めの姿勢で見る癖がついちゃっているからね。国家権力に与してやっている、精神病院は敵だ、みたいな煽り方が一方ではあると思いますよ。ただこちらは、法律にのっとってやっている話であって、老人病院で暴れる患者さんを(違法に)拘束するのとはわけが違うんだからね。そこらへんを、一般の人は全く分かってないと思うんだよね。精神科医療での拘束は、精神保健指定医が診察して、カルテに書いて頻繁に観察して、という手続きを踏んでいるわけじゃないですか。老人病院の場合は、誰が判断しているのかもわからない。老人病院などで拘束ゼロ運動なんてやっているけど、拘束しているよ、実際は」
1950年代以降、国の隔離収容政策の下で乱造された民間精神科病院は、生まれながらにして「保安」機能を担わされてきました。狭量な国民や行政が「面倒」「目障り」「邪魔」「危険」と考える人々に対して、精神科医が適当な診断名を付けて、収容を続けてきた歴史があります。ただ、民間精神科病院のトップの口から「保安」という言葉がダイレクトに飛び出すと、衝撃を受ける人は多くいます。
「(保安という言葉以外の)適切な言い方が分からないよね。柔らかく言うとまわりくどくなるし、やっぱり社会秩序の担保だと思うよ。例えば、包丁を振り回している患者さんなんて、そのまま放っとけないじゃないですか。警察が取り押さえて、ある程度拘束して、そのまま病院に連れて来て診察して、精神疾患による急性錯乱ですね、ということで医療的な治療に入るわけじゃないですか。でも、法に則って拘束して治療した、というところの評価ってないじゃない。心筋梗塞なら、その人だけの問題だけれども、精神科病院っていうのはその患者さんだけの問題じゃなく、周辺にいる人達へのリスクも背負って収容しているわけです。そこの部分について、なぜ評価しないのか僕はおかしいと思っている」
「一般の人にとって、精神科の問題は特殊であって、身内にそういう問題が起きなければ所詮は他人事なんですよ。認知症でも同じだと思うよ。身内に認知症患者が出ちゃって、夜間徘徊したり、衝動行為でいろんなものを壊したりだとか、そういう風になって初めて、これは大変な病気だって理解ができるんだけども。身内に統合失調症の患者さんがいなければ、そんな考えにならないよね。発達障害もそうだし、双極性障害にしてもそうだし、やっぱり他人事なんだよね」
「精神科の医療機関が勝手に暴走しないように、精神保健福祉法というタガがかかっているんですよ。昔の精神病院法から始まって、その頃というのは行政自体もずっとおかしなことをやっていたわけで。精神科医療って外国みたいに国がやるべきなんだよね。公的病院できちんと担保して、民間病院を1割くらいにすべきなのに、日本は低医療費政策で精神医療を安い値段でずっとやってきて、病床ばっかりつくっちゃって、地域にある中間施設の整備をしなかったわけじゃない。そこに問題があるんだよね」
「日本の精神科医療っていうのは、民間の病院を代用として使うという、そもそも始まりからして問題があると思うのよね。1919年に精神病院法という法律ができて、本来ならば政策医療でやるべき部分の精神科医療までも、代用の精神病院という考え方を導入して、民間病院に全部投げちゃったんだね。そこのところに大きな問題があったんじゃないかな」
「それともう一つ、(精神科病院の問題を語る時に)報徳会宇都宮病院の話がよく出ますよね。この事件は世界的にも有名なんだけど、この問題の根本には、処遇困難な患者を全部、民間病院に振ったという所にあったと思うんですよ。昭和44年(1969年)に大阪で安田病院事件というのがあって、不審死がたくさん出るんだけど、近畿一円から処遇困難な患者を全部ここに送っていた。この事件があった時に、大阪府立中宮病院の事件とか他にも色々あったのに、この時にきちんと総括しておかなかったのがいけない。処遇困難な患者は公立病院で診るのが普通でしょ。安田病院に全部送っていた行政が悪い。もちろん事件を起こした人も悪いんだけどね」
「そして、安田病院は大和川病院と名前を変えるんだよね。変えてまた、たくさんの不審死が出て、結局、廃院になったんだけど、厚労省の高官が関係していたんだよね。病院の貴賓室で接待を受けていたみたいで。よくある話。そして、安田病院事件から15年経ってから、宇都宮病院事件が起きる。この病院のモデルって安田病院だったんだよ。安田病院事件の時に、きちんと行政が介入して、処遇困難例を民間に押し付けるのはやっぱり変だろうという話でやっておけば、防げたかもしれないのに。僕の地元の群馬県の処遇困難例は、みんなここに送っていたんだよ。人格障害に精神障害が嚙んでいるみたいな人は、どうにもならなくてね」
「法務省が昭和49年(1974年)に、刑法を改正して保安処分というのを提案した。ところが当時、日本精神神経学会がみんな左の全共闘だったんで、これを潰しちゃうんですよ。彼らはそのまま被害的になるものだから、こんなものができて反政府運動をやったら、みんな保安施設に入れられてしまうんじゃないか、という被害妄想みたいなのがあって、潰しちゃって。結局、池田小学校事件が起きるまで、これに類する法律が作れなくなっちゃって、池田小学校事件であれだけの犠牲を払ってやっと医療観察法を作るわけ。ところがこれがザル法案もいいところで、治療可能性のある患者しか対象としていないんだよ」
「治療が極めて厳しそうな患者さんは、精神科病院に措置入院で入ってくるんですよ。医療観察法の入院費はひと月に180万から200万ぐらいでしょ。措置入院で入ってくる患者さんは70万か80万ですよ。半分くらいで、もっと重症な患者さんを措置で民間に押し付けているっていうね、全然合わないわけ。医療観察法の場合、まず精神科病院で鑑定入院というのをやるんですよ。鑑定入院した時に治療しちゃうからね。(公的な医療観察法病棟に)1年半の入院処分になって、入る時には半分くらいは良くなっているんだよ。だから別段、医療観察法にする必要はないんだ。だって良くなっているんだもん。それにひと月200万ぐらい払ってる」
★「僕の考えから言うと、日精協の中にも基本的には精神科は治療する場所であって、保安処分を取る場所ではないという会員は過去にたくさんいたし、今もいると思います。基本的には、そういうことは公的病院がするべきだと。根本的な姿勢であったと思います。ただ会員の中には、医療と保護という部分で、患者さんを保護するという意味合いの部分では、精神科が担っている部分もあるというところで、ある意味、保安的なところにつながっているという考えもあります。保護という部分無しには、精神科で治療はできないというところです。しかし、保安処分を精神科が受けるのはおかしいという議論はずっとあったと思います」
★「だから、措置入院の患者さんを取らない病院は結構ありましたよ。それで国が困って、スーパー救急に措置入院をどれだけ取っているのかというのを施設基準に入れるわけですよ。取らざるを得なくしたわけですよね。すると、我々もせずには病棟を維持できませんから。患者さんも減ってきている中で、どういう風な生き延び方を考えていくのかという形になってきた所で、措置入院を考えざるを得ない状況になってきたのかなと思っていますね」
「日精協の存在意義というのは、公立病院の下請けじゃないんだよ。町工場じゃないんだから、精神科医療の最先端のところをきちんと、自らやっていかないとさ、我々は公立病院の下請けになっちゃうから。率先して日精協が音頭をとって、今みたいにやっていかなきゃダメなんだよ」
NHKの番組の中で、山崎さんが言った「街で暴れている人」という言葉も、「精神科患者への差別を助長する」などの批判を浴びました。こうした声を、山崎さんはどう受け止めたのでしょうか。
「(街中で暴れる精神疾患の患者は)いるよ。発症している時は、暴れる人もいるよ、それは。暴れているから(警察などに)連れて来られるんであってさ」
★「患者さんが悪いわけではないですよ。病気だからですよ。薬を飲めば落ち着きます」
「病院に収容されるまでは、周りの人に何をするか分からないじゃない。こっちも斬りつけられるか分からない患者さんを治療しに行くわけだから。しかも、法的手続きでは、あなたはこういう病気だからって、支離滅裂な患者さんに告知するんだよ。法律屋が作ったバカな法律だよね。分からない患者に病状を説明しろってさ。こういう大変な保護の部分が精神科は保障されていないんだよ。だから、ちゃんと(対価が)払われるべきだと」
★「そしたら、人を増やせますからね」
「本来なら、すべて公立がすべきだと思うけど、公立がやらないんだもん。やらないから結局、日精協がやるしかないんだよ。他でやるとしたら、どういう所を想定しますか。想定なんてないですよ。少なくとも病気なんだから、医療が絡まなきゃダメでしょ。一般の先生がやってくれるかといったら、とても精神科なんて分からないって言うだけだよ。精神科医療でやるしかないし、保健所なんかもあてになんないよ」
★「昔は、警察が暴れている人を見ると、本当にすぐ精神科病院に連れて来ていましたよ。それが酔っぱらって暴れている人でも。最近は、酔っ払いは一晩醒ましてから来てくれって。昔は、わけがわからないことで暴れている人は、全部精神科に連れて来られましたよ。興奮している方の中には、やっぱり精神疾患の方がいるので、我々が診察して、措置入院や治療にのせると」
「あと、最近よく家族や保健所が連絡してくるのが、過量服薬とリストカットね。外科とか整形で縫合してからね。過量服薬は向精神薬もあるし、市販の薬を大量に飲んだというのもある。自殺したくて飲む人もいるし、気を引きたくて飲む人もいるしね。あとは引きこもりだな。引きこもりの中にどれぐらい統合失調症や自閉症スペクトラムみたいな人がいるのか、そういう人達をこれからどうしていくのか、考えなきゃダメだね」
実際に、街中や家で暴れて強制入院になった患者は、私も多く知っています。ただ、大暴れの背景には、それなりに理解できる事情があることが多く、長期に渡って甚大なストレスやトラウマを抱えてきた人が少なくありません。こうした真の原因と向き合い、環境調整なども駆使して患者を支えられるのであれば、強制であっても精神科病院に入院する意味はあると思います。ただ、受け入れた強制入院の患者を、多量の薬や隔離、身体拘束でひたすら抑え込むことしか考えない病院が目立ちます。患者は自尊心を削がれ、より深いトラウマを抱えて地域に戻り、福祉の世界に滞留していくのです。このような負の連鎖を防ぐには、精神医療の質の向上が欠かせません。
NHKの番組では、新型コロナに感染した患者を大部屋に閉じ込めて、真ん中に簡易トイレを置いて放置するなど、劣悪な対応をした病院(X病院とY病院)も登場しました。日精協として、なんらかの処分はしないのでしょうか。
「X病院にしてもY病院にしても知っているけど、あれはひどいよね。神戸の神出病院の時は、日精協として監査に入って指摘事項を伝えようとしたんだけど、退会するってことで、今は抜けている。結局、神出病院は(調査メンバーを)院内に入れさせてくれなかった」
「日精協には、支部長の承認がないと入れないんですよ。各都道府県で、支部長が『あそこはちょっとなあ』という病院が100近くあるんだけど、そういう病院は入ってないんです。加盟してないんだよね。不祥事があった時は必ず監査に入って、問題を指摘しています。茨城のホスピタル坂東もそうだったな。診療報酬の不正請求でね。めちゃくちゃなことをやっててさ。あれも厚労省の役人が指導したんだろ」
「神出病院も、事情を聞かせてくれと言ったけど、『コロナで、コロナで』と言われて。でも、話を聞いてこないとダメだってなって行ったんだけど、入って来られると困るからうちは退会します、となった。退会されたら、我々は入る権利も何もないし」
★「X病院とY病院は、最近までどこの病院か分からなかったから、(監査は)まだですね」(2021年8月19日時点)
「両方とも会員病院でしたよ。XとY。ただ、あそこは日精協の会合には出てこない。東京は会員病院が60くらいあって、40くらいでコロナが出たんだよ。3分の2だね。病院によっては、(XやYのように)畳部屋の方が落下しないからいいって言うけど、ただ点滴する時が大変だよね。色んな病院があるから、ひとまとめに精神科はって言われると困るんですよ。みんな一生懸命やっているんだけどね。ただ、オーナー権がないようなところはね。精神科病院で何かあると、ほらまた精神科病院で起きたと。どの集団でも、変なことをやるやつはやるからね」
日精協は9月15日、会員病院(1185病院)を対象とした「新型コロナウイルス感染症対応状況及びワクチン接種状況に関する調査」(8月23日時点)の結果を発表しました。回答した711病院のうち、44%にあたる310病院で感染が発生し、総感染者数は5091人(患者3602人、職員1489人)に上りました。「転院要請したが転院できずに死亡」の患者も235人に達しました。感染症対策でも、精神科病院は厳しい状況にあります。
「精神科病院はもともと閉鎖空間だから。病棟の中にアルコールだとか、消毒剤も置いておけないんだよ。飲んじゃうから」
★「食事の時に、ナース達が手にかけてあげるとかそういうことはできますけども。精神科ではマスクをしてっていうこともできない。それは疾病特性ですよね。他の部屋に行ってはダメですよと言っても、今でも後ろから僕に抱きついてくる患者さんがいますから。NHKの番組では非常に悪いように取り上げられましたけど、レッドゾーンとグリーンゾーンに精神科は分けることができないので、全部レッドゾーンにしてしまったんですよね。あの病院のやり方は、確かに問題ですけどね。日精協としても、感染症に関してはレッドゾーンにして、そこに感染した患者さんをまとめられるようにできませんか、ということを厚労省にお願いはしていたんですが、それはできないと」
「インフルエンザの時に、インフルエンザの患者さんを4人部屋にまとめるよね。そういうことは従来やっているのよ。そうじゃないと病棟全体に広がりますから。しかし、それで(NHKの番組に登場した病院のように)真ん中にトイレを置いて非人道的なことをするから、問題になるんですよね」
「今、コロナにかかると、一般の患者さんでもなかなか入院させてくれないんだから、精神科病院の患者さんはなおのこと難しいね。精神科病院は、自分のところで治療しなきゃいけないってなるよね。呼吸器の先生がいない精神科病院で感染が出た場合に備えて、治療の指導をするようなネットワークを日精協で作らなきゃだめだなと思っています。呼吸器の専門医がいる会員の病院と連携してね。ブロック別に、互助組織みたいなのを作らないとダメだね。そうじゃないと、普通の病院に頼んでも相手にしてくれないと思う。だから感染者病棟も、日精協の会員病院の中で力のあるところが作って、各都道府県に3か所くらい必要だと思っている。感染者病棟として作っておいて、患者が入っていてもいなくても運営費は(公が)払えって、そういうことですよ」
増加する身体拘束については、日精協はどう考えているのでしょうか。聞いてみました。
★「隔離や拘束は、患者さんはされたくないので、医療者も基本的にしたくないんですよ。それに、隔離拘束したら管理が大変というのもあります。巡回が多くて面倒だし、やりたくないんです」
「隔離は手続きがたくさんあるのに、診療報酬はなんにもついてこないよ。あれだけカルテを書かせるのに、なんで点数がつかないんだって言っているけど」
★「(身体拘束数が近年急増したのは)高齢者が増えているから。(拘束の)指示まで入れてでしょ。精神保険指定医の立場から言うと、指示は出すと思います。もし興奮したら隔離拘束してね、と。なければしないで。夜中に起こった時に、ドクターが各病棟を回って診れるのかっていうと難しいので、予測指示になると思います」
「精神科の身体拘束数が、以前は5000件だったのが10年で1万件になったっていうけど、介護の施設では、1年間に6万人拘束しているんだよ(2015年の厚労省調査)。それがなんで問題にならないで、精神科の1万人の方が問題になるのか。この6万人は、精神保険指定医が拘束の指示を出しているのでもなんでもなくて、誰が指示を出しているのかもわからない。そんな拘束をされている患者さんの人権は、どういう風に担保するんだって。こっちの方が問題だよ。精神科の1万人は精神保険指定医がやっている。でも6万人は、全然無資格のやつがやっているんですよ」
★「(介護の施設では)拘束はやってないってことですよ。そういう概念がないから。(身体)固定ということですよ」
「自分で降りられないようにベッドを柵で囲む。点滴の管を抜かないように手袋をつける。車椅子から立ち上がれないように拘束帯をつける。一般科だと拘束の概念がないので、みんな固定だね」
「精神科の拘束は、仕方なく拘束しているわけであって。拘束をなくそうとしている病院では、外には出てないけど、骨折の手術が倍になったっていうのもあるね。骨折のリスクって、それだけ上がる。拘束しない方が親切なのか、拘束しないで骨折した方が親切なのか、どっちかな。拘束しても部分開放をやっているし、車いすに乗せているし、縛りっぱなしじゃないからね」
★「認知症の老人は、寝るまでの間、30分とか1時間拘束して、あとは解除するというのが多いと思います。寝てしまえば朝までは大丈夫なので」
「部分拘束だよね。終日拘束じゃなくて」
現状では、明らかに過剰な身体拘束が頻発しています。病院は「管理のしやすさ」を優先するのではなく、患者の回復につながる「医療」の提供を優先して欲しいと思います。
(続く)
