日精協会長・山崎學さんに聞いた/630調査の公開を妨害したのか?/「秘密にするようなものではありません」/「保安」発言の真意などロングインタビューは後日掲載
みなさん、こんにピア!!
編集長の佐藤光展です。このコーナーなどで既に記事にしましたが、各精神科病院の診療実績が分かる630調査の情報公開請求では、神奈川県が当初は「公開拒否」と回答し、埼玉県は身体拘束数だけ塗りつぶすなど、自治体の異様な対応が目立ちました。公開を拒む理由として、これらの自治体が「公開すると今後の630調査で病院側の協力が得られなくなる」などと、業界からの圧力を示唆する回答をしたため、民間精神科病院を束ねる日本精神科病院協会(日精協)が「暗躍しているのでは」との見方が広がりました。
630調査のデータ開示を巡っては、日精協が調査主体の厚生労働省に抗議したのは事実です。同調査の集計法が2016年度に変わり、そのまま公開すると個人情報が洩れる恐れがあるため、開示しないように求めたのです。
しかし、2019年度の調査で集計法が再度見直され、開示データから個人情報が洩れる恐れはなくなりました。ところが、現在も公開を拒む自治体があります。その背景に日精協の圧力があるとすれば大問題です。医療機関は、提供する医療についての正確で適切な情報を、市民に提供しなければならないからです。これは医療法に定められています。
そこで8月19日、東京・芝浦の日精協会館で、会長を7期務める山崎學さんにこの件を質問しました。
山崎さんは「630調査を開示されても、別に問題ありませんよ。以前は個人情報のことで反対しましたが、(630調査の内容自体は)秘密にするようなものでも何でもないので」とあっさり回答。同席した副会長の野木渡さんも「個人情報が出なければ問題ありません」と明言しました。
神奈川県などとは異なり、東京都や大阪府は、2019年度調査の実質的な全面開示を行いました。埼玉県も、同年度は項目のほとんどを開示しました。しかしなぜか、各病院の身体拘束数は塗りつぶされていました。埼玉県はどうして、そんな不自然なことをしたのでしょうか。
山崎さんはこう答えました。
「それはたぶん、県の判断じゃないかな。以前に個人を特定されかねない630調査の情報を出してしまったから、慎重になっているのかもしれない。(日精協が身体拘束数は出すなと圧力をかけた事実は)そんなことありませんよ」
そして「日精協って、いつも影の圧力団体みたいに言われるけど、そんなことないって、我々は」と笑いながら付け加えました。
神奈川県が当初は「公開拒否」と回答したのは、担当部署の勉強不足や怠慢、そして過剰な忖度が原因だったようです。埼玉県の身体拘束数塗りつぶしも、担当部署の事なかれ主義が原因だったのかもしれません。もっと住民の方を向いて仕事をして欲しいものです。
山崎さんのインタビューは、東洋経済新報社調査報道部長の風間直樹さんと共に行い、3時間近くに及びました。山崎さんは「佐藤さんと話すといつも長くなるよ」と苦笑しつつも、質問にしっかり答えてくれました。
7月末放送のNHK・ETV特集「精神科病院×新型コロナ」で語った「こっちは保安までも全部やっているわけでしょう、精神科医療って」などの発言の真意や、認知症患者への対応、「アベ友」の関係、今後の病床削減のあり方、などにも話は及びました。
後日、私のWeb連載「精神医療ルネッサンス」でロングインタビューを掲載します。東洋経済オンライン「精神医療を問う」の風間さんの記事でも、山崎さんのインタビューが掲載されると思います。お楽しみに。
それではまた、ケイピー!!
