東京地裁の精神医療国賠口頭弁論を傍聴/あっけなくてビックリしたけど多くを学ぶ

みなさん、こんにピア!!

今回のKPちゃんは、日本の中枢・霞ヶ関に参上。いつもは神奈川の隅っこで暮らしているので、地下鉄から地上に上がった時点でドキドキです。目指すは東京地方裁判所。精神医療国家賠償請求訴訟の口頭弁論を傍聴するのです。

今年3月から始まった口頭弁論。計40年以上も精神科病院に閉じ込められ、東日本大震災による原発事故をきっかけに退院できた伊藤時男さんが原告となっています。被告は、国。精神医療政策に問題があったかどうかが争点になっています。

実はKPちゃん、裁判所に足を踏み入れるのは生まれて初めてなのです。こんなことが佐藤編集長に知れると「お前は何十年生きて来たんや!」「そういう無関心、平和ボケが社会をダメにするんや!」と雷が落ちるので、内緒ですよ。

東京地裁のある「東京高等・地方・簡易裁判所合同庁舎」(地上19階、地下3階)に入ると、まずは荷物検査。バッグと携帯を籠に入れさせられ、空港にあるようなゲートをくぐります。後ろめたいものはないはずなのに、妙な緊張感が走ります。無事通過。ロビーには人がいっぱい。今回の訴訟の原告となる伊藤時男さんと、国賠訴訟の関係者数人が集まっていたので、合流させてもらいました。しばらくすると、弁護団が到着。今回の第3回口頭弁論の内容骨子を、ロビーで簡単に説明してくれました。そして、いよいよ法廷へ。傍聴者が多いこともあって、1階の大きな103法廷が使われました。

密を避けるため、傍聴席はひとつおきで約40人が傍聴しました。傍聴席に人がいっぱいいることは、非常に大事なのだそうです。この訴訟に多くの人が関心を寄せている、成り行きを見守っている、ということを裁判官に直接アピールできる機会ということらしいです。

開始予定時刻は午前11時。出席者が全員揃っているということで、その数分前に始まりました。原告の代理人として、弁護士の長谷川敬祐さんが主張の説明を行いました。主張は以下の3点です。

  1. 憲法で保障された人権を侵害する医療保護入院制度を作り、その後も改廃しなかった立法不作為
  2. 憲法14条に反する精神科特例を廃止しなかった厚生大臣の不作為
  3. 精神医療政策に関する厚生大臣の不作為 (隔離収容政策からの転換義務違反/精神科病院に対する指導監督義務違反/入院治療の必要のない人に対する救済義務違反)

これらの主張の内容を、原告の伊藤時男さんが精神科病院に入院し始めた1960年代から、現在に至るまでの歴史的な事実経過を踏まえて、長谷川さんが15分ほどで説明しました。しかし、被告側と特にやりとりはなく、次回の日程を決めて終了。

「えっ、これでおしまい?」

閉廷後、KPちゃんは思わず隣の人に聞いてしまいました。この主張を聞いて、被告側はどう思ったのだろう。裁判官はどう受けとめたのだろう。誰の反応も何もわからず、呆気なく閉廷し、モヤモヤした気持ちだけが残ったKPちゃんでした。あとで周りの人に聞いたところ、口頭弁論とはこういうもののようです。次回、被告側から今回の主張に対する反論が出され、そこからが本番なのだそうです。

KPちゃんは今回の主張を聞く限り、原告の伊藤さんが長期入院せざるを得なかったのは、伊藤さん自身の問題ではなく、国が果たすべき義務、役割を怠ってきたからだとしか思えません。「原告側の主張は100%正当だ!反論もクソもあるか!反論の余地なんてない!」と、法律のど素人のKPちゃんは思ってしまいます。しかし、裁判とはそんな単純なものではないらしい。どんな反論が出てくるのか、気になります。

問題だらけの精神科病院を民間にたくさん作らせ、人権侵害を平気で許容してきたのは「国」です。そんな「国」に暮らす「私たち」にも、患者たちを苦しめた責任の一端はあります。だからこそ、多くの人に、この裁判に注目して欲しいのです。次回の口頭弁論は9月27日。できれば傍聴してくださいね。

それではまた、ケイピー!!

東京地裁のある「東京高等・地方・簡易裁判所合同庁舎」