衆院議員会館で11日に院内集会「神出病院事件を繰り返さない」/障害者虐待防止法の改正など求める/オンライン視聴も可能

神戸市西区の神出病院で昨年、おぞましい患者虐待事件が発覚しました。看護職員6人が逮捕され、有罪判決が言い渡されましたが、これは氷山の一角と考えられます。KPや私のもとには、各地から次々と虐待情報が寄せられています。発覚しないだけで、同様の虐待や人権蹂躙が日々起きているのです。どうしたら止められるのか。KPの声掛けで集まった多くの人権擁護団体の共催で今月11日、院内集会を開き、障害者虐待防止法の改正などを国会議員らに求めます。コロナ禍のため東京には集まりにくい状況ですが、今やらないとこの事件は忘れ去られてしまいます。オンライン視聴ができますので、ご参加ください。(佐藤光展)

日時:2021年5月11日(火)11:30〜13:00

場所:衆議院第一議員会館 多目的ホール

申込方法(オンライン視聴もこちらへ):

名前、所属、連絡先(メールアドレス)を明記の上、kp.kanagawapeer@gmail.comにご連絡ください。

スケジュール:

1.基調報告

長谷川利夫(杏林大学)

桐原尚之(全国「精神病」者集団)

2.特別報告

吉田明彦(兵庫県精神医療人権センター)

小山聡子(日本女子大学)

山本深雪(認定NPO法人大阪精神医療人権センター)

窪田澄夫(一般社団法人日本精神科看護協会)

■共催団体

神奈川精神医療人権センター、埼玉県精神医療人権センター、東京精神医療人権センター、兵庫県精神医療人権センター、認定NPO法人大阪精神医療人権センター、大阪精神障害者連絡会、NPO法人横浜市精神障害者地域生活支援連合会、精神障害当事者会ポルケ、NPO法人こらーるたいとう、全国「精神病」者集団、全国自立生活センター協議会、認定NPO法人DPI日本会議

■後援

NPO法人全国精神障害者団体連合会、NPO法人全国精神障害者地域生活支援協議会、認定NPO法人地域精神保健福祉機構、一般社団法人日本精神科看護協会、公益社団法人全国精神保健福祉会連合会、日本障害フォーラム、日本弁護士連合会、公益社団法人日本精神保健福祉士協会(予定)、NPO法人日本障害者協議会(予定)

■事務局

神奈川精神医療人権センター

以下は、KPの広報担当・堀合研二郎からのメッセージです。

KPのホームページをチェックされるような意識の高い皆様であればよくご存知でしょうが、始まったばかりの令和の世を新型コロナウィルスと共に騒がせた『神出病院事件』は、見逃すことのできない問題点をいくつもはらんでいます。

神戸市の奥地にある465床の大きな精神科病院で起きたこの虐待事件は、患者同士でキスさせる、患者の陰部にジャムを塗って他の患者になめさせる、患者を全裸にして水をかける、ベッドを逆さにして患者にかぶせて監禁する等、ナンセンスでありえないことのオンパレードです。

やらかしたことのまずさは言うまでもないことですが、さらにいただけないのは、その露呈の仕方。たまたま加害職員が病院とは無関係の事件で逮捕されて、取調べの際に所持していたスマートフォンから院内の虐待行為を映した動画が多数見つかったことにより発覚したという事実は、病院内の自浄作用が全く機能していないことを如実に物語っています。もしここで発覚しなければ、今も陰惨な虐待行為が繰り返されていたのではないでしょうか。

神出病院事件は、決して特殊なケースではなく、氷山の一角と思われます。日本中に数多存在する精神科病院内で、表沙汰にならない虐待行為はまだまだ他にも起きているのではないでしょうか。

私たちはもう黙っているわけにはいかない。そう思います。そして、ただ騒ぎ立てるだけではなく、政策的な解決策を提示するべきであると考えました。具体的には①障害者虐待防止法の改正②権利擁護制度の新設③指導監督制度の見直し、の3つです。

障害者虐待防止法に設けられた「通報義務」を課す対象に、病院職員が入っていないこと。福祉施設職員は入っているのに病院職員は入っていないことに、かなりの違和感を覚えます。法の制定過程で病院団体サイドからの圧力が働いたことで、こうなったとされるこの法律の明らかな「瑕疵」は、神出病院で虐待が繰り返されたことの遠因になっていると思われます。病院職員にも通報義務があると明記するよう、法改正を求めます。

権利擁護制度の新設とは、私たちKPや各地の精神医療人権センターが行っている活動を公的な制度にするということです。面会・訪問、退院支援、権利行使の支援等、私たちは公的な制度には乗らずにこれらを行っていますが、弱い立場に置かれがちな精神科病院への入院者を外側から支援するためのオフィシャルな制度が設けられることが、病院の内部をクリーンにすることに繋がるのではないでしょうか。虐待を受けていた神出病院の入院患者さん達に、もし「外からの支援があったら」と思わずにはいられません。

指導監督制度の見直しは、神出病院の虐待事件を見抜けなかったという結果をもたらした制度の不備を補うために必要なものでしょう。精神保健福祉法の基準に則って適切に病院運営がなされているか、ということのみをモニタリングする現行の制度が、ザル同然であることは、今回の神出病院事件を鑑みるに明らかなことでしょう。現実に則した有効な制度への見直しを求めます。

私たちKPは草の根的な権利擁護活動を行う団体ですが、それのみでは不十分だという自覚も持ち合わせています。今回のような、国会議員の皆様に市井で起きている問題を知っていただき、解決策を考えていただくような「院内集会」が、私たちの生きる世界を真に「美しい」と思えるようなものに変えていくための足掛かりになると信じています。

コロナ禍の時節柄、オンラインでの視聴も可能となっております。KPとして初めてといえる政治的なうねりを起こす活動に多くの伴走者を求めています。5月11日にお会いしましょう。(堀合研二郎)

患者虐待を繰り返した看護職員6人が有罪判決を受けた神出病院。この事件は氷山の一角。