コロナで重症化したら見殺しですか!?/精神科病院で「看取り」の同意書
みなさん、こんにピア!!
精神科病院という所は、非常識なことを色々とやらかしてくれます。今回もまた、やっちゃいました。
「この文書、怖くないですか。『よく読んでサインしてください』と求められたのですが」
神奈川県内の精神科病院(以下、S病院)に娘が入院している田中朝美さん(仮名)が、KPちゃんに1枚の文書を見せてくれました。コロナ禍で面会を制限しているS病院が、自宅に郵送してきたのだそうです。
タイトルは「新型コロナウイルス感染症陽性患者様に関する同意書」。入院患者が新型コロナに感染し、搬送先が見つからない場合、S病院で提供できる医療は「酸素吸入」「水分や栄養維持のための点滴等」「発熱や痛みに対する解熱鎮痛剤の投与」だけだと書いてあるのですが、最後に驚くべき一文が加えられていたのです。
「万が一重症化した場合は看取りに切り替えることがある」
田中さんが「怖い」と感じた気持ちは、よくわかります。こんな同意書を病院が送り付けてきたら、誰でもギョッとしますよ。「最善を尽くします」ではなく、いきなり「看取り」ですから。
この文書はどういう意図で作ったのか。KPちゃんがS病院に電話すると、看護部長から「神奈川県の通達に沿って作成しました」とシンプルな回答がありました。「看取り」という言葉が患者や家族に与える衝撃の大きさは眼中にないようでした。
看護部長が言った「神奈川県の通達」とは、黒岩知事が今年1月、県内各病院長宛に送った依頼文「新型コロナウイルス感染症陽性患者の入院管理を現在行っていない病院において発生した陽性患者の入院管理の継続について」のことです。
この依頼文には「陽性患者の入院先の選定が非常に困難」な状況にあり、「特に介護が必要な高齢者の患者については受入先の医療機関の負担が大きく、なお一層、受入が困難」などと書いてあります。そのため、入院患者に陽性者が出た場合は「原則として自院で継続して入院管理していただきますようお願いします」と県は要請しています。
更に「県としても、他院で集中治療等が必要な患者については、可能な限り、上り搬送できる体制を維持したいと考えていますので、各医療機関におかれましても、現実に院内で陽性患者が発生した場合は、酸素投与などの医療行為や人生の最終段階における医療の提供を含め、原則として自院で継続して入院管理していただきますようお願いします」とあります。
要するに、重症者を救命するための病床を確保しなければならないので、各病院は自院でできる限りのことをしてくれ、という依頼です。「人生の最終段階における医療の提供」という言葉がありますが、これは他の病気で余命いくばくもない患者が新型コロナに感染した場合の対応などを想定していると考えられます。
この依頼文を曲解して、比較的若い人が多い精神科の入院患者に対しても「万が一重症化した場合は看取りに切り替えることがある」などという紋切型の同意書にサインを求めるのは、非常識の極みです。「重症化したら見捨てることもあります」と言っているようなものですから。
不安を煽るような「看取り」という言葉を、ここで敢えて使う必要はありません。何かあった時の責任逃れのために、家族に「看取り」の同意を迫ったとしか思えない不適切な対応です。こんな同意書を用意する前に、「何かあればきちんと説明します。搬送を含め最大限の努力をします。いつでも相談にのります」と、患者や家族を安心させることこそが、病院として優先すべきことではないでしょうか。厳しい状況下でも最大限の努力をしていれば、不測の事態が起こっても責められたり、裁判で負けたりすることはないはずです。
コロナのような非常事態が起きた時に、どういった対応をとるかで、その病院の本質が見えてきますね。
それではまた、ケイピー!!
