社会から排除され続ける精神障害者たち/沖縄の「私宅監置」を描いた映画「夜明け前のうた」上映始まる

沖縄で終戦後も続いた私宅監置。その犠牲者たちの命を見つめる映画「夜明け前のうた 消された沖縄の障害者」(原義和監督)の上映が、東京など各地の映画館で始まりました。KPの地元・横浜では、伊勢佐木町の横浜シネマリンで10日から公開されます。

この映画は、1960年代に精神科医が撮影した私宅監置中の犠牲者らの写真や、当時を知る人々の証言などで構成されています。日本では1900年に施行された精神病者監護法に基づき、家族らが公的な許可を得て、精神障害者を座敷牢に閉じ込めました(私宅監置)。日本本土では、1950年の精神衛生法の制定により私宅監置は禁止されましたが、米軍統治下の沖縄では1972年の返還まで続きました。

原監督は、この映画について次のように語っています。

「(私宅監置は)誰もが固く口を閉ざしてきた事実であり、闇に葬られてきた歴史です。結果、犠牲者たちは、まるでいなかった人のように『消されて』きました。その人間像を浮かび上がらせ、社会的に消されたひとり一人の命が、いかに尊く、かけがえのないものであったかを描き出します」

座敷牢は、今も日本のどこかにあるかもしれません。2017年には、大阪府寝屋川市で娘を10年以上プレハブの1畳間に閉じ込め、死に至らしめる監禁死事件が発覚しました。精神障害者を病院に強制入院させて不当に長く閉じ込めたり、地域から排除したりする悪辣な行為は、現在も大っぴらに行われています。私たちが未だに解決できないでいる「障害者排除」の問題について、この映画を通して改めて考えてみたいとKPは思っています。

☆映画の公式サイト:https://yoake-uta.com/

☆横浜シネマリン:https://cinemarine.co.jp/

10日から18日までの公開記念イベント予定

●4月10日(土) 大阪シネヌーヴォ 上映後 舞台トーク:森下光泰(NHK「バリバラ」プロデューサー)、原義和(監督)

●4月11日(日) 京都シネマ 上映後 舞台トーク:高木俊介(精神科医)、原義和(監督)

●4月11日(日) 東京新宿K‘s cinema 上映後 舞台トーク:藤井克徳(障害者団体代表)、香山リカ(精神科医・立教大学教授)

●4月11日(日) 横浜シネマリン 上映後 オンライントーク:原義和(監督)

●4月12日(月)東京新宿K‘s cinema 上映後 舞台トーク:斉藤道雄(ジャーナリスト)、原義和(監督)

●4月17日(土) 名古屋シネマテーク 上映後 舞台トーク:橋本明(愛知県立大学教授・私宅監置研究者)、原義和(監督)

●4月18日(日) 名古屋シネマテーク 上映後 舞台トーク:池住義憲(元・立教大学大学院教授)、原義和(監督)