やっと自由を得た伊藤時男さんが描いたネコ/精神医療国賠訴訟の口頭弁論始まる

精神医療国家賠償請求訴訟の第1回口頭弁論が、3月1日、東京地裁で開かれました。不当な長期入院を何十年も放置した国の責任を問う裁判が、いよいよ動き出したのです。

原告の伊藤時男さんは、法廷での意見陳述で「入院中の生活は、かごの中の鳥のような生活でした」「自分の意思だけで好きなように外出することはできず、外出できたときも近所の目は冷たかったです」「近所の人から『うちの前を通らないでもらえますか』と言われたことはショックで、今も覚えています」「まじめに働き続けましたが、一生懸命働いても退院させてくれませんでした」「退院したいと言ったら看護師にダメと言われて絶望し、常磐線に飛び込んで自殺した女の人もいました」「私から退院したいという気持ちを何度も伝えても、退院が実現することはありませんでした」などと述べました。

伊藤さんは、いつ出られるのかわからない長期入院を強いられている間、「心を保つため」に川柳を頻繁に作り、新聞に投稿していました。心の健康を取り戻すためにあるはずの精神科病院で、心を保つための努力を続けないと、心が壊れてしまいそうだったのです。日本の精神科病院とは一体、何のためにあるのでしょうか。

伊藤さんは絵も得意で、現在はネコやイヌなどの愛らしいスケッチをたくさん描いています。今回は、その中の1枚をご紹介します。

KPでは、伊藤さんらを招いたシンポジウムを横浜で計画しています。詳細が決まり次第、このサイトでお知らせします。

精神医療国賠の原告・伊藤時男さんが描いたネコ
伊藤時男さん(中央)と、精神医療国家賠償請求訴訟研究会のメンバー(2021年3月1日、東京地裁前 佐藤光展撮影)