「オンライン診療の継続求める要望書」を厚生労働省に提出

KPは2020年10月、「精神科病院・メンタルクリニック・心療内科における電話や情報通信機器を用いた診療等の取り扱いに関する要望書」を厚生労働省に提出しました。

ことの始まりは、KPに寄せられたご相談。精神科への通院が身体的にとても大変な方からの訴えでした。

「コロナの影響で電話診療が可能になりましたが、今まで通院で非常に疲弊していたこともあり、助かりました。コロナ騒ぎが収まっても電話診療を続けて欲しいです」

そこで、KPメンバーたちが勤務先の障害福祉サービス事業所の利用者などにも尋ねてみると、同様の悩みが出てくる!出てくる!精神科への通院がいかに大変か、というご意見を沢山いただきました。クリニックは総じて駅チカですが、今夏実施した横浜市内精神科病院バスツアーでも判明した通り、民間病院は「嫌がらせか!」と思うほど交通の便が悪い場所にあることが多いですからね。以下に、主要なご意見をまとめてみました。

  • 安定していて薬の処方もずっと変わらないのに、通院のために仕事を毎月休まなくてはいけない。
  • 近所の目が気になってしまい、家の近くの精神科にかかるのはやめた。そのため遠くの病院へ通院しているので、通院時間が非常に長い。
  • 体調が悪い時ほど、こまめに通院しなければいけない。薬が増えて体が重い時ほど、その状態を主治医に伝えるため通院しなければならず、つらい。
  • 薬が多く、ずっとだるい。通院しないと薬をもらえないが、体が動かない。毎回タクシーで通院している。お金がかかって仕方がない。
  • 通院する日は1日潰れる。1時間かけて通院し、2時間くらい病院で待っている。その後は薬局で2時間待つ(処方される薬が多く、時間がかかる)。そして1時間かけて帰宅する。帰った後は体が動かない。ただ寝るだけ。
  • 普段は元気だが、病院で診察を長時間待っていると、具合が悪くなってくる。

厚生労働省はコロナウイルス感染拡大防止のため、電話やオンライン機器を用いた診療の時限的な実施を通達しましたが、緊急事態宣言が明けた現在は、全ての病院が実施しているわけではありません。上記のような困難に加え、ウイルス感染の不安を抱えながら通院している人もいるのが現状です。

KPはこれらの声を受けて、要望書を提出しました。コロナウイルス感染拡大防止対策として設けた規定を制度化し、全ての病院やクリニックが導入するよう通達して欲しいと強く要望しました。ただし、オンライン診療の普及で、診療の質の低下を招くようなことがあってはなりません。患者の状態を適切に見極めた上での対応が求められます。