入院患者に虐待を繰り返した神出病院元看護師ら6人に有罪判決

精神疾患の入院患者を虐待していた神出病院(神戸市西区)の看護師5人と元看護助手(全員男性。いずれも現在は退職)が、今年3月、準強制わいせつや暴行などの容疑で兵庫県警に逮捕されました。6人は起訴され、神戸地裁で3人の執行猶予付き有罪判決が確定、3人が実刑判決を受けました。10件の虐待に加わり、スマホで撮影した元看護助手、和田元規被告(27)に対しては、10月12日、懲役4年(求刑懲役7年)が言い渡されました。

彼らは日常的に虐待を行っていました。男性患者同士にキスを強制する。トイレで水をかける。頭にテープを何重にも巻き付ける……。詳細に書くこともはばかられるような性的、身体的、精神的暴行を繰り返していたのです。更に、その様子を動画に撮り、無料通信アプリを使って仲間内でシェアしていました。

事件は偶然発覚しました。和田被告が別の強制わいせつ容疑で逮捕され、彼のスマートフォンから虐待場面を記録した動画が発見されたのです。もし彼が逮捕されていなければ、この虐待事件は今も発覚していなかったはずです。

元看護師たちは、法廷で次のように証言したと共同通信は伝えています。

「他の看護師たちが暴力行為をするのを見ていて、自分もやるようになった」
「『患者をおちょくって一人前』という空気があった」

「鬼畜」のような振る舞いをした彼らが、最初から患者に暴力を振るうような人間だったとは思えません。日常的に暴力が溢れる環境に身を置くうちに、本来備わっていたはずのモラルさえも書き換えられ、秘めていた残忍さが顔を出してしまったのではないでしょうか。

非道な行為に耐えられない職員は去り、患者虐待で歪んだ快感を得た職員と、見て見ぬふりができる職員だけが残っていく。神出病院に限らず、精神科病院という閉鎖空間には、今もなお深い闇が広がっています。

弁護士やジャーナリストら多彩なメンバーが顔をそろえるKPでは、内部告発をお待ちしています。

◎「精神科病院「B棟4階」のおぞましい虐待 看護師らが法廷で明かした真相とは」(2020年9月10日共同通信)

◎「患者虐待で元看護助手に懲役4年 精神科病院、神戸地裁」(2020年10月12日共同通信)

◎「『院長独裁』神戸の精神科病院 利益優先、患者退院させず」(2020年10月17日共同通信)

神出病院のホームページ。再発防止策が記されているが、果たして変わるのだろうか?