ヘイトスピーチ禁止条例(7月1日全面施行)を勝ち取った川崎の市民グループからメッセージをいただきました
KPは県内外の多くの組織と連携し、精神疾患を持つ人の人権を守る活動を進めていきます。悪質なヘイトスピーチに刑事罰を科す条例を川崎市で勝ち取った「ヘイトスピーチを許さない かわさき市民ネットワーク」もそのひとつです。横浜市都筑区荏田南2丁目に立つヘイト幟旗への対応については、特に貴重なアドバイスをいただいています。同ネットワーク事務局・山田貴夫さんからのメッセージをご紹介します。
2020年7月1日「川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例」が全面施行に!
「川崎に住むゴミ、ウジ虫、ダニを駆除するためにデモを行います!ゴキブリ朝鮮人は出て行け!」
2015年11月、日本第一党などのグループが川崎市南部の在日コリアンが多住する桜本をめざして、マイクで叫びながら向かってきました。これに対して、1970年代から保育園や学童保育、あるいは国籍による差別をなくす多民族・多文化共生の地域活動を推進し、また支援してきた500余名の市民が駆けつけて、ヘイトデモを押し返しました。
在日コリアンの女性は法務局に人権侵犯被害を訴え、法務局はデモ主催者に対して「本件行為が他者の人間としての尊厳を傷つけるものであることを認識し反省するとともに、今後決して同様の行為を行うことのないよう」と勧告しました。
また上記の地域活動を推進してきた社会福祉法人青丘社は「ヘイトデモ接近禁止の仮処分申立」を行いました。横浜地裁川崎支部は、法人事務所を起点とする半径500m以内に接近することを禁止し、「在日コリアン等に対する差別的意識を助長し又は誘発する目的で公然とその生命、身体、名誉を毀損し、若しくは著しく侮辱するなどし、もって法人の事業を妨害する一切の行為」を禁止すると判示しました。
それから4年かけて、標記の条例が制定されました。特色は、一定の期間内に三度にわたってヘイトスピーチを繰り返した人には、第三者委員会の審査を経て、50万円以下の罰金が科せられることが明記されました。差別は犯罪であることが明らかになりました。
ヘイトスピーチとは、人種、民族、国籍、社会的出身、性、性的指向、障がいの有無などの属性を有する社会のマイノリティ〔少数者〕の集団または個人に対し、その属性を理由とする差別的表現です。その本質は、マイノリティに対する「差別、敵意または暴力の扇動」(国際人権規約第20条)であり、街頭での演説、デモ行進のほか、プラカードや幟旗、看板などを掲示することも許されることではありません。